いまの社会では、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「コスパ(コストパフォーマンス)」がよく求められます。
仕事のやり方も、できるだけムダを省いて、効率よく、正確にこなすことが求められがちです。
まるで、感情や個性を出さずに、ロボットみたいに動くことが正解、という空気すら感じます。
さらに最近では、SNSなどでちょっとした言動がすぐに批判されたり、細かいミスやズレが許されにくくなってきました。「間違えない」「はみ出さない」ことが、必要以上に大事にされているようにも見えます。
そんな中で会社を継ぎ、経営に向き合う後継者にとって、大事なテーマがひとつあります。
それは、「人間らしさをどうやって守り、活かすか」ということです。
経営は、本来は人と人との関わりの中で成り立つものだと思います。
社員一人ひとりの思いや、お客さんとの関係、社内の雰囲気や地域とのつながり。どれも数字やマニュアルだけでは測れない、“人間っぽさ”のあるものです。
でも、効率やスピードだけを優先していると、そうしたものが置き去りになってしまいます。
だからこそ、これからの時代の後継者には、機械のように動くのではなく、「人として、どう経営するか」をあらためて考える力が必要だと思います。
正解がないことに悩んだり、話し合いに時間をかけたり、一見ムダに思えるやりとりの中に、大事な気づきがあるものです。
どんなに世の中が便利になっても、最後に会社を動かすのは“人”です。
人と人との関係をちゃんと見て、耳を傾けて、自分なりの考えをもって動いていく。そんな「人間らしい経営」をめざす後継者が、これからの会社をつくっていくのではないかと思うのです。
後継者の学校 代表 大川原


